【石川県加賀市】純白の手打ち蕎麦「加賀上杉」二代目の思いとは。

蕎麦処・加賀上杉(かがうえすぎ)

2002年、石川県加賀市の山代温泉エリアでオープン。
現在、初代から二代目への事業継承を意識し、父と息子の二人で営業。

毎朝その日に出す分だけの蕎麦を打ち、売り切れ次第終了の同店では、
加賀市では珍しい純白の”御前蕎麦”を提供している。

開業から15年を迎えてなお人気の加賀上杉は、
地元の人はもちろん、温泉に癒やしを求めた観光客から愛され続けている。

二代目 石川智規さん

石川県加賀市出身。大学進学を機に金沢に住所を移す。

卒業後は東京に本社を構えるアウトソーシングカンパニーへ就職し、
12年間に渡り営業職から管理業務に携わりながら全国各地を転々と異動。

その後、実家の家業を継ぐため、東京で経営コンサルの会社に転職
2年かけて経営やマーケティングを学び、2014年、家業を継ぐためUターン。

Q1 加賀上杉の味わいどころを教えてください。

御前粉を使った純白の蕎麦であることですね。
白い蕎麦へのこだわりは大きいです。

加賀上杉のお蕎麦は”蕎麦の実の芯白の部分”、御前粉と呼ばれる蕎麦粉を使っています。

御前粉で打った麺は凄く繊細で、茹でる前の状態では
少しの衝撃でパラパラと崩れるため、丁寧に扱わないといけないんです。

その分、出来上がった蕎麦はコシや喉ごしが増して、凄く上品な味になります。

「田舎なのにこんなに洗練された蕎麦をいただける」というのが、
加賀上杉の味わいどころだと思います。


‐見た目も美しい純白の蕎麦

Q2 お父様がお蕎麦屋を始めたきっかけは?

もともと父は呉服屋の二代目で、呉服の展示会やイベントの時に
サービスの一環としてお蕎麦の振る舞いを行っていました。

そのお蕎麦が美味しいと評判になっていって、
周囲からも蕎麦屋の開店を望む声を徐々にいただくようになったんです。

丁度そのとき、加賀市の町並み活性化プロジェクトがスタートし、
良い支援制度や商店街通りの物件と出会えた事も後押しとなって、
父が48歳の時に「町の活性化の手伝いができれば」と、蕎麦屋を始めたと聞いています。

‐呉服屋で扱っている掛け軸を店内に

Q3 全く違う業種へ。試行錯誤はありましたか?

父が蕎麦屋を始める事を決意してからのは修行の日々でした。

石川県の能登地方で有名な「そば処 上杉」さんへ毎日通い、
免許皆伝を許されるまで二年ほど掛かったと聞いています。

一方で、もともと呉服屋をしているときから、馴染みのお客様にたいして
手打ちの蕎麦を試食していただくこともあったので、
周りの人たちからは開業を応援してもらっていましたね。


-上杉の名前を引き継いで、加賀でも開店

Q4 そんな父から二代目を継ぐ。守っていきたいことは?

まずは純白の蕎麦を守り続けることでしょうか。

自分自身、家業を手伝うようになって二年が経ち、
すでにお客様にも蕎麦を提供させていただいていますが、
まだまだ油断はできず、細心の注意を払って蕎麦を打っています。

引き続き父から上杉の味と品質を学び、この純白で上品なお蕎麦が、
いつか山代温泉の名物と言ってもらえるまで続けていきたいですね。

Q5 逆に新しく始めたいこと、チャレンジしたいことは?

蕎麦の文化を多面的に後世に残していきたいと思っています。

例えば、当店で出すかどうかは別ですが、最近はガレットを試作したりしています。
いろいろな角度から蕎麦の文化を発展させ、蕎麦を好きな人が増えていってほしいんです。

もうひとつ、今年から蕎麦の実の自家栽培を始めました
まだ一年目なのでどうなるか分かりませんが、地元で採れた蕎麦の実を使って、
加賀上杉の蕎麦をお届け出来たらいいな、と思っています!

Q6 Uターンするまで約18年。戻ってきた加賀はどんな場所になっていましたか?

私が子供の頃の山代温泉は、景気もよく観光客の人で昼も夜も賑わっていました。
商店街も「カランコロン」という下駄の音が響き渡ったりと、、、。

そんな昔を思うと、景気や人口の問題もあり、
街としての集客力は当時と比べて落ちていると思います。

ただ大人になって故郷に戻ってきて、商売を通じた人間関係の広がり方には驚きました。
「商店街を一緒に盛り上げよう」という同じ志をもった方も沢山いますし。

あとは、自分は趣味が高じて「カラアゲニスト」という資格を持っているのですが、
友人の経営者から「石川さんの揚げた唐揚げをハイボールと出す”ハイカラ会”をやろう!」とか、
「イベント出店して欲しい」など、面白いアイデアをくれて実際に形にする方が加賀には沢山いるので楽しいですね(笑)!


‐加賀上杉もある山代温泉の商店街通り

Q7 最後に、今後の展望や目標を教えてください。

まずは、家業の「加賀上杉」をもっと盛り立てていきたいです。

その先に、商店街の活性化であったり、
山代温泉や加賀市の活性化に貢献したいという思いももちろんあります。

その時には、Uターン前に国内外で学び得たスキルや人脈を使い役立てていきたいと思いますし、
今後のトレンドとなる新しい技術(ICT、IOT)も積極的に活用したいです。

せっかく加賀市に帰ってきたので単発的な地域貢献ではなくて、
加賀市の経済が循環していくような、そんな持続的な活動をしていきたいです!

加賀上杉
住所:加賀市山代温泉温泉通42
電話:0761-77-5026
URL:http://kaga-uesugi.com/