加賀の”庭文化”を繋ぐ。

2013年、北陸新幹線かがやきが開業してからというもの、
「雪吊り」という言葉は金沢・兼六園の代名詞となりました。

そんな北陸の”庭文化”。

石川県加賀市にもその伝統を繋いでいる人がいます。

八嶋宗治さん

二十歳の時、石川県加賀市の造園会社に就職。

旅館の庭園から、一般住宅の庭づくりに至るまで、
約13年間の修業期間を経て、2017年に庭師として独立も視野に会社を退社。

また、三児の父として「子供が楽しむ地域」を目指し、
子供向けの行事の企画・開催も行う。

Q1 加賀の”庭文化”について教えてください

石川県加賀市は雪が多く降るエリアですので、京都や名古屋とはやはり違います。

木ひとつとっても、雪が積もって枝が折れてしまわないよう剪定していきますので、
下から覗き込むと空が透けて見えるような、シンプルですっきりとしたデザインが多いですね。

また、石川県では一般家庭でも雪吊りをします。
観光スポットだけではなく、生活の知恵として産まれた冬の風物詩なんです。

Q2 庭師の魅力は?

同じ木は二つとしてありませんので、同じ種類の木であっても、
ひとつひとつ状態を見ながら、最適なアプローチを考えていきます。
毎日やる事が違うので、それが楽しいですね。

決して楽な仕事ではないし、危険もありますが、
自分の技術で食べていく職人業としての魅力は、他には替えられません。

Q3 庭師の人材状況を教えてください。

後継者不足は悩ましいです。

自分もそうですが、大体の庭師は造園会社に10年程度勤めた後、
独立するパターンが多いため、引き継ぐ人がいなければ廃業となります。

ただ覚悟さえ決めれば、すぐにでも庭師を目指す道は開けます。
現に、定年後に造園会社に入り、修行をつむ人もいますし、
転職して1から庭師を目指す人も沢山いますよ。

Q4 集客は順調ですか?

まだまだこれからですが、親類や友人はもちろん、
前職で繋がった取引先さんから、仕事を頼まれる事もあります。

また、知り合いの方からの注文で、
今年のお正月は門松のデザインを行わせていただきました。

Q5 地域との関わりについて教えてください。

地域との繋がりは大切です。

自分が住んでいる所に馴染んでいくことで、
地区会館の雪吊りを頼まれたりと、仕事に繋がることもあります。

ただ、仕事を抜きにしても、三児の父として
「子供が楽しむ地域」になるよう様々な活動をしています。

例えば、去年のクリスマスには、地区会館の一室を貸し切りにして
風船でいっぱいにする年末イベントなどを企画しました。
知らない親子も来てくれたり、広がりが嬉しかったですね。

Q6 これから加賀市に移住を検討している人に一言。

この石川県加賀市は、山や海に囲まれた立地のためか、
漆器職人や漁師など、「手に職」を持っている人達が沢山います。

自分たち庭師も、ハサミと梯子だけあれば、
あとは自分の技術のみで食べていく事ができる職人です。

消滅可能性都市だからこそ、「これから」のまちです。
”手に職”で暮らしたい人にとっては住みやすいと思いますよ!

お庭屋 宗さん
住所:石川県加賀市上河崎町タ77-1
電話:090-9764-2531

取材後記:
12月にクマオカさんにご紹介いただき、今回やっと取材に行くことができました!
こんにちは、やまだです。 加賀暮らしインタビューの第三弾です。 やっとイイガイさんにご紹介いただいた方のもとへお伺いすることが出来ま...
なんと三児のパパ!下の子は双子ちゃんです。取材中も元気いっぱいで微笑ましかったです。
寒さ厳しい中で、実際に雪吊りを組み立てる風景を見せてくださったり、沢山ご協力いただきました!取材を通じ、「加賀はこれから」という言葉を聞いてジーンとしてしまいました…。お忙しいなか、本当にありがとうございました!