【ITを地域へ】石川県加賀市の地域おこし協力隊が遂に「起業」しました!

2020年度、論理的思考力を育むための「プログラミング教育」が小学校で必修化されます。

石川県加賀市は国のモデル地域に選ばれており、
先行してプログラミング教育をスタートさせています。

これは北陸で唯一のこと。
今回は、そんな加賀市のIT支援を推し進めるおふたりに取材しました。

IT促進を担う地域おこし協力隊

中 裕也さん

石川県白山市出身。高校卒業後、金沢の大学に進学し情報システムを学ぶ。
その後、大学院に進み「適応システム」をテーマに研究。

ソフトウェアの会社に就職し、コンピュータセキュリティ業務に従事。

32歳の時に、「地元で仕事をしたい」と決意し9年勤めた会社を退職し、
石川県加賀市の地域おこし協力隊としてIT促進の活動を行う。

四津谷 瞬さん

富山県高岡市出身。高校卒業後、福井の大学に進学し知能システム工学部に所属。

その後、中さんと同じソフトウェアの会社に就職し、通信業の基幹システムを開発。
携帯会社のネット注文に関わる環境の設計〜開発〜運用までを手掛けてきた。

その後、別のキャリアプランを模索し転職活動を行なっていたところ、
中さんに誘われて加賀市の地域おこし協力隊に応募

Q1 地域おこし協力隊の活動はどんなものですか?

中さん(以下:中):
大きく分けて3つの活動を行なっています。

1 KAGAものづくりラボの管理・運営
3Dプリンタやレーザーカッター等のものづくり機器を設置した施設。趣味から製品開発まで多様な用途で利用が可能です。基本的には毎週金・土曜日にオープンしており、管理人として地域おこし協力隊が常駐しています。定期的にイベントも開催。
URL:https://kagalab.kaga-iotac.org/


ものづくりラボの前で!金曜と土曜はお二人のどちらかが指導員として常駐しているそう。

2 加賀ロボレーブ国際大会の開催・運営支援
アメリカから始まったロボット教育プログラムのひとつ。世界各地の子どもたちがロボットを使ったプログラミングにチャレンジして楽しく競い合います。2017年には加賀で国際大会が開催され、アメリカ、中国、台湾、シンガポール、インドからロボットチームが参加しました。地域おこし協力隊として、サイトの作成から集計システムを構築。
URL:http://www.roborave-kaga.com/


2017年に開催されたロボレーブの様子。世界の子どもたちの勝負が白熱しています。

3 小学生のICT(プログラミング)授業のフォロー
石川県加賀市では、2016年から小学生を対象としたプログラミング教育をスタートさせています。地域おこし協力隊として、実際にプログラミング教育を行う先生方のフォローやお手伝いを行なっています。


教員の方々に対するプログラミング授業のフォローをすることで、地域全体のIT促進に尽力されています!

Q2 2018年4月には会社を立ち上げ!具体的に教えてください。

中:
そうなんです。株式会社インテトラスという会社を二人で立ち上げました。


インテトラスの会社ロゴ。サイトは現在準備中とのこと…。

業務の内容としては地域の子ども達を対象に、
毎月「ラズベリーパイ」というコンピュータを使ったプログラミング教室
をひらいています。

また、不定期で合宿を開催していて、そこではプログラミングだけではなくて、
「生け花×IT」とか「将棋×IT」とか子ども達の知識がより広がるような授業をやっています。


合宿の様子。子どもたちが生け花を。


合宿の様子。地域の方と一緒に将棋を学ぶ。ITだけに止まらず様々な知識を身につけられる合宿を提案!

四:
また、建築会社や旅館とタッグを組んで、新しい分野へのIT構築も目指しています

例えば今の分譲住宅は「建てたら終わり」という所も多いかと思いますが、
ITを絡めることで「住民達で分譲住宅をデザインしていく」ようなことが出来ないかなと。
市内の企業さんと協力しながらチャレンジしています。

Q3 加賀のITへの取り組みをどう感じていらっしゃいますか?

四:
教育という分野については、加賀市と教育委員会が一緒に取り組んでいて凄いなと思います。
「地域全体でITをもっと進めていこう」という気持ちがこもっている気がします。

僕たちが取り組んでいるプログラミング教室も、子ども達の成長をすごく感じるんです。

興味がある子は、すでに自宅でプログラムを組んできたりして、
「先生、ここはどうすればいいんですか?」って聞いてくれるんです。

中:
自分は大学にいってからプログラミングというものに出会ったので、
そう考えると加賀の子は凄く身近にITがあるなあと思います。


「子どもたちの素直な反応が嬉しい」と話してくれました。

Q4 サラリーマンから起業家へ。振り返ってみていかがですか?

中:
僕の場合、親が商売していることもあって、いずれ地元で独立したかったんです。

そんな時に地域おこし協力隊に採用されたのはラッキーだったし、
チャレンジしてみて良かったなと思っています。

四:
転職活動中、実はIT業界とは異なる職種も検討していたんです。事務とか…(笑)
今では「ITで起業」を決断して良かったです。

今まで会社に守られていて、気づくことが出来なかった大変さも感じる日々ですが、
それに気づけただけでも大きな意味があったなと思っています


ものづくりラボの内観。3Dプリンタなどものづくりの為の機器が並んでいる。
協力隊になったばかりの頃は、ものづくりラボの管理をすることは想像していなかったという。

Q5 これからチャレンジしたいことはありますか?

中:
まずは今いただいている仕事をちゃんとやること。
その後に自分たちの独自のサービスを作っていきたいですね。

プログラミング教室もこれまで加賀市内の全ての小学校(19校)で22回実施し、
合計224名が参加してくれたりなど、大きな動きに繋がっているように思います。

そういった流れを一つひとつ作っていきたいです。


「地域との連携や関わりがより重要になる」と話してくれました。

四:
そうですね。
中さんと同じになりますが、やはり今やっていることをちゃんと形にしていきたいです。


定期的に開催しているIT合宿では沢山の子どもたちが集まっている。

Q6 地域の人に伝えたいことはありますか?

四:
僕は学生の頃から地元を離れていたので、
地域活動やイベントなどにあまり参加したことがなかったのですが、
加賀にきてからは積極的に参加するようにしています。

大雪の時もスコップを貸してくれたり、
町内の人も僕たちの事を気にかけてくれて、凄く感謝しています。


地域との繋がりを笑顔で話してくれる四津谷さん

Q7 これから加賀にかかわるひとに一言ください。

中:
最初は僕たちのことを「協力隊のふたり!」と呼んでいた地域の人が、
今ではそれぞれを名前で呼んでくれています

仕事以外の繋がりを育めたことも自分たちにとっては大切な財産になっています。
これから加賀に入ってくる方もぜひ地域の方々と交流していって欲しいです!

四:
加賀がプログラミング教育のモデル地区に選ばれていることからも、
この地域は新しい取り組みが受け入れられる土壌が整っていると思います。

これからチャレンジしたい人にはぜひオススメします


ぜひ週末(金〜土)はものづくりラボへ!

株式会社インテトラス

住所:石川県大聖寺八間道65番地 加賀交流プラザさくら 3階

KAGAものづくりラボ:https://kagalab.kaga-iotac.org/

加賀ロボレーブ:http://www.roborave-kaga.com/