移住したアニメ作家が語る、石川県加賀市の暮らしと文化の魅力とは。

石川県加賀市には、様々な移住者がいらっしゃいます。
中には珍しい経歴の持ち主も…。

今日はそんな一人、東京の仕事を加賀で受けている
テレワークのアニメ作家さんに迫りました!

アニメ作家・名取祐一郎さん

東京都出身。
2005年に東京藝術大学を卒業した後、一年かけてインド・ネパールを放浪。

在学中からアニメ作家、デザイナーとしての活動を行っており、
現在もTVアニメやホームページデザインなどの様々な仕事をフリーで手掛ける。

2013年、子育て環境の見直しも含め、ご家族で石川県加賀市にIターン移住
奥様もフリーの作曲家として活動中。

Q1 お仕事の内容を教えてください。

職種としてはアニメ作家とデザイナーです。
どこに住んでいても仕事を受けられるので、移住を決断できたポイントでもありますね。

具体的には、「NHKスペシャル」「新日曜美術館」「おかあさんといっしょ」など、
番組内のアニメやイラスト、商品や本のデザインをしたりしています。

東京にいたときには、絵画教室の講師もやっていました。


‐大河ドラマ「直虎」のテキスト絵も担当

Q2 石川県加賀市との出会いを教えてください。

当時、子育てをしながら、もっと環境の良い所に移住したいという気持ちがあって、、
ただ東京の仕事が殆どだったので、最初は山梨など割と近いところを考えていました。

それも一生懸命探すというより、「何か縁があれば移住しよう」という程度だったところに、
義母の知り合いから加賀市の空き家を紹介してもらえるという話が飛び込んできたんです。

それが加賀市との出会いですね。
なにか縁のようなものを感じ、そこで初めて石川への移住を意識しました。


‐「加賀の桜は見事なのに、誰もブルーシートを敷いてないところがよい」と仰る名取さん。

Q3 全く知らない場所に移り住む。抵抗はなかったですか?

移住を決める前に一度加賀市を訪れたのですが、
そのときに色んな場所をみて、自然豊かなところや文化レベルの高さを感じ
夫婦で「もう来ちゃえ」と決意しました。

一番印象に残っているのは「江沼神社」です。
人の造った庭園の美しさと自然の美しさが上手く調和していて、
初めてみた時に胸を打たれたのを今でも覚えています。

江沼神社(えぬまじんじゃ)…
創建は1704年といわれ、境内の庭園は兼六園の影響を受けた池泉廻遊式武家庭園。ひさご池や、中島にかかる八ッ橋、石組の間からの湧水など、見どころも沢山。1960年に加賀市の文化財に指定。
参考URL:ほっと石川旅ネット


‐5月の江沼神社 一部紅葉も始まる

Q4 移住して子育て環境は変わりましたか?

現在は子供が三人いますが、東京を離れたのは第一子が3歳・第二子が1歳の時です。

東京では待機児童が当たり前となっていましたので、
夫婦ともに自宅で仕事をしている私達のケースでは、
最初から「保育園に入ることは出来ない」と言われていました。

でも加賀に移住して調べていくと「どこでもどうぞ!」という感じで、
しかも保育料も凄く安くて驚きましたね。

移住後に第三子も生まれ、いまでは全員同じ保育園に通っています。


‐家の中庭をDIYする時も。

Q5 名取さんから見て加賀はどんな場所でしょうか?

季節を強く感じられる場所だと思います。
こっちに来て蛍を初めて見ましたし、冬の夜は雷が鳴る事にも驚きました。

三月ごろ、久しぶりに天気が良くなって散歩に行くと、
「春が来たんだ!」というのを凄く感じることができます。

春の訪れを体で感じる嬉しさだったり、はっきりとした季節の変化というのは、
創作活動に良い影響を与えてくれていると思います。


‐名取さんのアトリエ

Q6 加賀の文化レベルが高いと思われた理由を教えてください。

職人のスピリットを随所に感じるというか…。

まず家の造りが明らかに関東と違うと思いました。
城下町らしくギュウギュウになった家づくりは昔ながらの雰囲気があります。

また、加賀市の場合には怪談話がお殿様の時代から記録されていて、
実際にその場所へ足を運ぶと「本当に祠が残っている」なんて事も。

誇り高い土地の力を感じますし、歴史や文化が地続きで残っているのが良いですね。


‐密集した家造り

Q7 加賀市民として今後の目標などがあれば教えてください。

移住して4年目ですが、最近やっと加賀市民としての実感が出てきました。

講演に出させてもらったり、自分の仕事を地域の人に知ってもらう事で、
加賀市を楽しめはじめたというか、根っこの部分も馴染み始めたような…。

今後の目標は、”口頭伝承”で伝わってきた昔話をアニメにすることです。

どの地域にも、言葉によってのみ受け継がれてきたちょっとした昔話、
例えば「どこでオバケが出た」とか、そういったエピソードがあると思うのですが、
そういうものに夫婦で絵と音楽をつけて、アニメにしていきたいなと思っています。

Natori Yuichiro
サイトURL:http://natorie.com/index.html