菜園生活 風来(ふうらい)
石川県能美市にて、30aの畑と小さなハウス4棟で
少量多品目の野菜を育てる自称“日本一小さい専業農家”。
“無農薬栽培”での野菜の育成・収穫、自家加工、販売まで一手に行う。
本当の意味での顔の見える関係を目指し、2002年4月に畑の前に自宅兼直売場をオープン。
その後2012年より、ほぼ無肥料での“炭素循環農法”(以下、たんじゅん農法)に全面切り替えを行う。
「炭素循環農法(たんじゅん農法)」とは・・・
山の木々が、肥料をあげている訳でもないのに大木に成長することからヒントを得た農法。窒素肥料を使わず、落ち葉や枯れ木などの炭素資材を糸状菌が分解する自然の力を応用している。
“風来”という屋号には、沢山の風、つまり色々な人が来て欲しいという願いが込められている。
生産者・西田栄喜さん
愛称は風来の”源さん”。家族は奥さんとこどもが3人。
大学卒業後、バーテンダーとなり
その後一年間のオーストラリア遊学を経てホテルの支配人業に就く。
2000年に農業でのビジネスチャンスを感じ、自身のふるさとである石川県で独立起農。
漬物名人としてよく知られていた母の影響を受け、
自分で栽培した野菜を漬物などに加工・販売まで一貫して行っている。
農に対する思いや、毎日の畑の様子を熱心に発信し、数多くのファンの心を掴んでいる。
小さい農業で稼ぐコツ 加工・直売・幸せ家族農業で30a1200万円
Q1 ”日本一小さい農家”とは?”菜園生活”とは?
どのくらい小さいかというと耕地面積30a。サッカーコートの半分ぐらいになります。
通常の日本の農家は平均2.7ha以上の耕地なので、約10分の1なんです。
そんなに狭い耕地で専業農家!?と驚かれるくらいです。
というわけで、自称”日本一小さい農家”と名乗っています。
”菜園生活”は、菜園=畑を舞台に何をしてもいいんだ!という思いを込めています。
生きるために一番必要な食を支えるのが農業です。
これをおさえておけば、何にでも応用が効くんですよ。
風来には多くの視察の方が訪れますが、やり方を真似るんじゃなくて、
”なんだ!こんな小ささでもできるんだ!”
と農家の固定概念をはずした方が、成功に向かうんじゃないでしょうか。
Q2 ”風来の源さん”の野菜や食へのこだわりは?
有機栽培でやっていた時は、「自然な・・・」と言いつつも、
できあがった農作物に対しては”自分が育てたんだ”という意識がありました。
たんじゅん農法に切り替えてからは、
沢山の生物が作用しあって野菜が育っていく手助けをしている感覚で、
心から自然への畏敬を感じるようになりました。
風来のコンセプトは、「(おいしくて安全だからこそ)毎日食べ続けられる味と価格」です。
どんなに安全でおいしくても、毎日食べられなければ意味がありません。
本物の食は野菜にしろ、漬物にしろ後味がすっきりしています。
その理由は、”硝酸態窒素(しょうさんたいちっそ)”の残留が少ないから!
窒素の値が高いと、エグミや苦味を感じるんです。
「硝酸態窒素(しょうさんたいちっそ)」とは・・・
土壌中の無機窒素のひとつ。野菜を育てるのにもっとも必要とされている窒素・リン酸・カリだが、肥料過多になると、土壌中や葉物野菜等の残留窒素が多くなり、色々な弊害が起こる。詳しくは源さんがハーバー・ビジネス・オンラインで書いた記事を参考に。↓
https://hbol.jp/13269
Q3 ”農園生活 風来”の普及・浸透に向けてどんな活動をされていますか?
風来ではもともと、インターネットでの販売が中心です。
SNSとブログを使った発信は、17年間毎日続けています。
そんなインターネットの活用にともなって、
だからこそ直接会うことの大切さにも改めて気づかされました。
結果、「ベジベジくらぶ」というfacebookのグループを開設して
同じような志の人たちと繋がり、家庭菜園のノウハウを直接伝授することもありますし、
掛かりつけの農家と出会うコンパ「農コン」なども開いています。
胃袋の興味が近い人は、仲良くなるのが早いんです。
一緒に食事する場面をつくれば、みんな勝手に繋がっていきますね。
‐加賀市でも農コンを真似た”農活”というイベントが開かれた。そこでプレゼンをする源さん。
Q4 ずばり!家族農業で1200万円の秘訣は?
これからの農家は、生産・加工・直売の六次産業化を求められます。
特に直売。直に繋がることこそが要です。
風来は第四の柱として、”ベジベジくらぶ”や”農コン”などを含めた、情報発信力もあります。
今までなかった、個人が発信できる時代。
個人が発信できるというのは農家と相性がいいんですよ。
野菜を育てている人の人柄が見えるのは買い手に喜ばれます。
Q5 最後に、どんな方に風来の野菜や加工品を食べてもらいたいですか?
無農薬野菜が特別なものではなくなり、
普段から”美味しい”と食べてもらえるのが理想です。
どんな方でも食べていただきたいですが、実際に購入されるお客様は、
小さいお子さんをもったお母さんや、体のことに気を使う年配の男性が多いですね。
子供たちは先入観なしに”美味しい”と言ってくれるので、嬉しい!
うちに限らず、かかりつけの農家を持つ世の中になって欲しいです。
売り先が決まっていれば、農家も安心して農作物を育てられます。