ここでしか積めないキャリアを。加賀の移住を支える若者が感じた地域の未来とは。

石川県加賀市では「移住・定住」に力を入れており、様々な取り組みを行なっています。

加賀での生活をイメージするための暮らし体験の家や、移住に関する様々な疑問をサポートする移住コーディネーターの存在もそのひとつです。

今回は、そんな移住コーディネーターのひとりにお話を伺いました。

移住コーディネーター 山田淳史さん

石川県加賀市出身。高校卒業後、東京の大学に進学して日本文化学を専攻。

大学三年生のときに地域づくりの面白さに目覚め、「高齢者×ブックカフェ」や「浴衣×まち歩き」などの様々なイベントを自ら企画し実行。

その後大学院に進学し、社会学を専門に研究を行うなかで「地元の加賀市でも何かやりたい」という想いが大きくなり、当時加賀市で開催されていた学生ワークショップ・PLUSKAGAプロジェクトに参加。

このワークショップを通じて、子どもの時には気づかなかったふるさとの一面を知り、2018年4月に加賀市へのUターンを決意。現在は移住促進に取り組む「加賀市定住促進協議会」の運営メンバーとして日々活動中。

加賀市定住促進協議会

石川県加賀市への移住定住を促進することを目的に2016年に立ち上がった団体です。

移住を検討されている方に対して最大1週間ご滞在いただける「暮らし体験の家」を複数管理しながら、これまで約227組570名の移住相談を受け入れ、その内の31組59名が実際の移住に結びついています(2018年12月時点)。

また、滞在中には「市内の紹介」「地元企業での仕事体験」「住まい探しのサポート」など、それぞれのご希望に合わせたアテンドを大切にし、移住後の具体的な暮らしが想像できるよう一人ひとりに寄り添ったサポートを行なっています。

ー 石川県加賀市にUターンを決めたきっかけは?

大学院一年生の時に参加した学生ワークショップ・PLUSKAGAの影響が大きいと思います。

地域のキーパーソンの方々にお話を伺う機会を多くいただいたのですが、加賀に根を下ろして活躍される皆さんのことを純粋に格好いいと思いましたし、一方で「自分の生まれ育ったこの場所はこれからどうなっていくのかな」と考える自分にも気づきました。

そんな時に、加賀市定住促進協議会の事務局の方から「一緒に仕事をしてみないか?」とお誘いいただいたんです。このご縁は大きかったですね。人と地域を繋ぐという所が魅力的で、また面白い人にも一番に会えそうだなと思って、大学院を卒業した後にUターンを決めました


PLUSKAGAで自身の企画したプロジェクトを紹介する様子

ー 日々の活動を教えてください。

大きく分けると「移住を検討している人の相談対応」と「情報発信」の二つに取り組んでいます。

相談対応にも色々あるんですが、東京や大阪などの都心部で開かれる移住フェアに出展して大勢の人に加賀をアピールする機会もあれば、実際に加賀市を訪れてくれた方に個別で市内をご案内することもあります。時には週1のペースで個別のご案内をすることもあって、ニーズの高まりを感じています。

また、情報発信に関しては、移住ポータルサイト「加賀でかがやく」に様々な情報を掲載しています。移住を考えていらっしゃる方にとって「住まい」「仕事」は外すことが出来ない重要な要素ですので、地元企業のインタビュー記事や、住宅制度など暮らしにまつわる情報を幅広く紹介しています。


都心で開催された移住フェアに出展したときの様子

ー Uターンして、加賀に対するイメージは変わりましたか?

かなり変わったと思います。
高校生の頃は、とにかく早くこの町を出ようと、それしか考えてませんでしたから(笑)

でも加賀市に戻ってきてから、出会った皆さんが本当に素晴らしくて「地方でもキャリアが積める」というのを正に体現されていらっしゃる方ばかりなんです。

大学時代の同期は都心の企業に勤めている人も多いですが、お互い全く異なる経験をしているなと思っています。どちらも良い面・悪い面はありますが、僕はこの地に帰ってきたからこそ得られる経験の重さを日々感じます。

地元の人のリアルな声を聞いて、加賀の将来像を考えるようにもなりましたし、この町の当事者になったなと思います。

ー 大変なこと、課題はありますか?

一番は、すぐに住める物件が少ないことです。

空き家自体は沢山ありますが、まだ物が中に残っていたり、住むためには工事が必要だったりと、移住を考えている方の住まいとしてはハードルが高いのが現状です。

加賀市を訪れて、この土地を気に入って住みたいと言ってくださる人は大勢いらっしゃいます。それだけ魅力的な地域なんだなと嬉しく思う一方で、いよいよ移住を本格的に考え「家を探そう!」という段階になった途端、なかなかご案内できる住まいがなくて難航するのは本当に歯がゆいですね。

1ヶ月待っても、2ヶ月待っても希望の条件を満たす物件が見つからずに「今回はご縁がなかったと諦めます。」と去っていった方も大勢いました。

ひとりで解決出来る事ではないので、同じような課題意識を持っている関係者の方々と何か打開策を打てないかと考えています。

ー これからチャレンジしたいことは?

この仕事を始めて気づいた事なんですが、観光と移住は凄く密接しています
現在、移住体験ツアーを定期的に行なっていますが、このツアーの内容は観光に来た方に喜んでもらえそうなものも多いんです。

移住者に限定しないツアーを行うことで、思わぬ所で加賀市との接点が生まれマッチングに繋がるケースもありそうですし、地域内外の気持ちが分かる自分だからこそ出来るツアーや企画を作っていきたいなと思っています。


加賀市は梨の産地としても有名。この写真は移住検討者の方達と梨農家を訪れた時のもの。

ー これから移住を考えている方に一言ください!

インターネットの発達に伴って色んな情報が瞬時に手に入るようになりましたが、それでも人に会うのはとても大切だと思っています。

加賀市定住促進協議会では、移住後のライフスタイルまでイメージできるような案内や相談を心がけていますので、なんでも頼っていただければ嬉しいです!

加賀市定住促進協議会

電話:0761-71-0099

お問い合わせ:http://kaga-teiju.jp/wpre/support/house/contact/

ポータルサイト:http://kaga-teiju.jp/

営業時間:平日 9時~18時(不定休)※ご相談・滞在・ツアーは予約制です