電力小売の自由化が始まり、誰もが自由に電気を選ぶ時代になりました。
そんななか、石川県で60年の歴史をもつ株式会社マルヰさんが電気小売事業所の認定を受け、地域に愛され共感を生む新しい電力サービスをスタートさせました。
その仕組みや想いをたっぷりご紹介します!
まるいでんき
まるいでんきは、株式会社マルヰ(本社:石川県加賀市)が提供する新たな電力サービスです。
株式会社マルヰ
1956年の設立以来、プロパンガスの販売を基礎としながら石油製品やソーラー発電、リフォーム工事の提案・受注、ミネラルウォーターの販売など、暮らしの基盤を支えるサービスを多面的に提供。人々の暮らしに密接に関わる企業として、地域に根ざした活動を幅広く行い、地域コミュニティ「マルッコクラブ」の運営なども手がける。
2016年4月に電力小売の自由化が始まり、家庭や商店も含む全ての消費者が、電力会社や料金メニューをそれぞれのニーズや想いに合わせて自由に選べるようになりました。
株式会社マルヰでは、2018年6月に電気小売事業者の認定を受け、「このまちに こどもたちに ちょっとイイこと」をモットーに掲げ、地域と連携しながら新しい電力の在り方を提案しています。
専務取締役 小新 知治(こしん ともはる)さん
株式会社マルヰの次期四代目。石川県加賀市出身。
京都の大学を卒業した後、大阪にある総合エネルギー企業に就職し、27歳の時に家業のマルヰを継ぐため石川県にUターン移住されました。
以来、マルヰファンを増やすための地域コミュニティ「マルッコクラブ」の立ち上げや、100年続く企業を目指すための「マルヰビジョン DREAM2026」を策定するなど、会社の理念や在り方を伝え、共感を生むための舵取りをされています。
また2017年に専務取締役に就任してからは、専務直下のプロジェクトとして「まるいでんき」をスタートさせ、次代を見据えた新しいチャレンジにも取り組まれています。
ーまるいでんきが他の電力会社と異なる点を教えてください。
最大の特徴は、毎月の電気料金の一部を地域で頑張る団体や学校の活動資金に充当できる点にあります。これは「ちょっとイイことプラン」といって、様々な団体とコラボして生まれたオリジナルの電力プランなんです。
利用者の方からお支払いいただく電気料金の一部をコラボ団体へ充当されるので、利用者・コラボ先・まるいでんきのそれぞれにとって「ちょっとイイ」の循環が生まれる仕組みです。
ちなみにこの充当金はまるいでんきの利益からお支払いしているので、利用者の方の電気料金が高くなるということはありません。
現在は3つのプランをご用意していますが、新しいプランもどんどん増えていく予定です。
ー まるいでんきを選ぶことで、地域への恩返しに繋がる。
このサービスを始めるときの想いを教えてください。
まるいでんきを始めるとき、どんな内容にするかを一年程かけて社内で話し合ったんです。
周囲からは「何年でいくらの売り上げを目指すか?」といった数字のツッコミも当然結構ありましたが、僕らはそれを全く無視して、まずはどんな想いでやりたいのか、どんなビジョンをこのサービスに持たせたいのか、という気持ちの部分を一番大事にすると決めていました。
そこで挙がったのが、お客様から「まるいでんきはいいことやっとるね。それなら私も応援して、まるいでんきを使うわ。」といった共感を持って選ばれるサービスを作りたいということだったんです。
企業のCSR事業として年間何万円を寄付します、ということではなく、利用者の方自身も「地域を良くする活動に一緒に参加しているんだ」という実感が芽生える仕組みを大切にしています。
ー 利用者の方からはどんな声が届いていますか?
身近な電力会社であるメリットは強く感じていただいていると思います。
電力の切り替えを検討される方のなかには、色々変わってしまうんではと不安がられる方もいらっしゃいますが、実際に導入された方からはすごく暖かい反応が多いんです。
利用者の方から実際に寄せられた感想
チイハネ堂 吉村さん
私は「加賀っ子応援でんきプラン」を利用しています。我が家は一番下の子が12歳なので、あと6年は電気の基本料金が無料!
月々1400円くらいお得なので、年間で考えると結構な節約ですよね。しかも支払った料金のうち100円が毎月指定の小学校に寄付されるということで、良いことづくめです。
電気の供給元はこれまでと変わらないので停電などのリスクは同じですし、むしろ何かが起きた時に、顔の見えるマルヰさんにすぐ相談できるのは安心していただけるポイントだと思います。
切り替えにかかる作業も全てマルヰさんにやってもらったので、こちらの負担は0円でスマホから簡単に手続きできました。
ー これからまるいでんきでチャレンジしたいことや取り組みたいことを教えてください。
株式会社マルヰは、薪や炭が主流だった時代にプロパンガスを普及した所にルーツがあります。人々の暮らしの基盤を変えてきた僕らだからこそ、電気をやる意味もあると思っています。
かつてプロパンガスが中々受け入れてもらえなかったように、電気を選ぶ必要性もまだまだ感じてない方も多いと思います。でもそんな方々にダイレクトに響く、ニッチなプランをもっともっと提供していきたいです。
”自分の電気料金が、毎日通う商店街の修繕費に充当されるとしたら。”
”かつて通っていた母校の備品に充てられるとしたら。”
そんな自分の周囲を取り巻く環境を元気にできるプランを作っていきたいですね。
みんながハッピーになれる循環をどんどん生み出していきたいです。
ー 地域の人に伝えたいことやメッセージがあれば一言いただきたいです。
人口減少が進む現代において、商店街やNPOなど地域で重要な役割を担っている団体ほど、財源の確保や継続性に深刻な課題を抱えているケースも多いです。
まるいでんきの「ちょっとイイことプラン」は、そんな団体とコラボすることで課題解決の新しい道を提案し、電気を選ぶことで未来も選んでいくようなサービスだと思っています。
誰にでも当てはまる一様なサービスより「自分のまちを元気にしたい」「子どもの未来を守りたい」といったピュアな気持ちこそがこれからの社会に必要な繋がりなのではないでしょうか。
これからも加賀市ならではの事業であったりプランであったり、そんな取り組みをどんどんやっていきたいと考えていますので、どうぞよろしくお願いします!
photo_Yuma Ogawa