【移住して加賀へ】いろんな地域を見てきた産後インストラクターが語る、加賀市の子育て

自分の暮らす地域のことは案外知らないことも多いはず。
「知っていれば利用していたのに!」、そんなサービスや支援制度もたくさんあるのではないでしょうか。

今回は、2016年に加賀市に移住して来た産後セルフケアインストラクターの篠崎さんにお話を伺いました。

秋田、福井、加賀と色んな地域をみてきた彼女だからこそ、ここ加賀市がもつ充実の子育て支援制度をたっぷりと、そしてリアルに語ってくださいました。

産後セルフケアインストラクター 篠崎季美子さん

静岡県出身。高校卒業後、東京の大学に進学して社会福祉を専攻。

大学卒業後は東京の会社に入社し、23歳の時に結婚。
同年、ご主人の転勤が決まり、新卒入社の会社を退職して秋田県へ移住。

秋田に移住してすぐ第一子の妊娠が発覚するも、9ヶ月の時に二度目の転勤が決まり福井県へ。この頃から「家庭/産後/子育て」など、社会と女性の在り方を考えるようになり、産後セルフケアインストラクターの資格を取得。

26歳の時に、ご主人の脱サラをきっかけに石川県加賀市に移住し、その後第二子を出産。
現在は、加賀・金沢・福井など複数のエリアで産後ケア講師を勤め、自分と同様の悩みや想いを持つ女性たちに寄り添いサポートする日々。

ー 加賀に来るまで、いろんな場所を見てこられたんですね。

そうなんです。東京、秋田、福井と転々としてきました。
場所が変わると、当然ですけど自分のキャリアも大きく変わりますよね。

今でこそ産後セルフケアのインストラクターとして個人事業主をしていますが、秋田で第一子を妊娠するまではずっと企業勤めだったので、妊娠や転勤のたびに自分のキャリアが途切れてしまうような感覚も正直ありました。

これは私に限ったことではなくて、多くの女性が感じていることだと思います。
社会と自分が分断されているような気持ちになってしまったり、でもそれすらも一人で抱え込もうとしてしまったり。

そんな時には「これが当たり前だから我慢しなきゃ」と自分を責めるのはではなくて、地域のサービスを活用して、色んな人に支えてもらうことで気持ちが軽くなりました。

使えるものはどんどん使って周りに頼る大切さは、私自身が身に沁みて感じていることです。


第一子を出産した頃。
素敵なお写真ですが、内心は不安が大きく、またその事を周囲にも伝えられなかったそうです。

ー 第二子出産は里帰りせずに加賀市で。その時のご心境は?

加賀市に移住してわずか1ヶ月で第二子を授かったことを知りました。

第一子の時は静岡の実家に里帰りしたので、第二子の時もその選択肢はあったんですが、
上の子の環境を大事にしたい気持ちも大きくて迷っていたんです。

そんな時、母子手帳をもらいにいって「産後家庭支援ヘルパー派遣事業」のサービスが加賀市にあることを知ったんです!


(参考:加賀市「産後家庭支援ヘルパー派遣事業」)

東京では産後ヘルパーの利用が一般的になりつつあり、知人でも使っている人が多かったので、私自身もこの制度を利用して加賀で出産するという決断はごく自然なものでした。

また初めて料金を知った時にはびっくりしました!
似たようなサービスをいくつか知っていますが、都心では1時間3000円ほどしたので、加賀市の2時間1000円というのは破格の値段で、とても恵まれていると思います。

ー 産後ヘルパー制度をどのように利用していましたか?

出産後、1年間利用できるこの制度ですが、私は合計15回使いました。
この制度がなかったら絶対に産後を乗り切れていないと断言できます!(笑)
妊娠中からヘルパーさんと顔合わせもしていたので、安心して使うことができました。

毎回、あらゆる育児や家事を手助けしてもらいました

例えばキッチンに残るお皿を洗っていただいて、そのままシンクでベビーバスを使った沐浴をお願いするなど。その後は冷蔵庫の残りもので昼食と夕食を作ってくださって、残った時間に洗濯物を畳んで仕舞う所までお願いする日もありました。


ヘルパーさんによる沐浴

淡々とお手伝いしてくださるのではなくて、合間合間で育児の悩みやお話を聞いてくださって、何気ない会話にどれほど救われたか…。血の繋がっていない他人だからこそ、そしてきちんとした研修を受けているプロだからこその距離感は、身内にお願いするよりも自分が素直になれて、本当に支えてもらいました。

ー ほかに加賀市の子育て支援制度を利用したら教えてください。

第一子の長女が3歳、第二子の長男が1歳になりました。

いま一番利用しているのは病児・病後児保育の「かもっ子」さんでしょうか。
働くお父さん・お母さんに代わって病気のお子さんを預かってくれるサービスなんですが、息子が病弱なこともあってよく利用しています。

かもっ子さんは、親身になって受け入れてくれるので安心して預けることができます。
「なんだか子どもがかわいそう」と病児・病後児保育のサービスの利用をためらう方もいらっしゃると聞きますが、一人ひとりに向き合って対応してくださる職員の方のお陰で、子どもも第二の保育園と思っているほど自然体でいられています。

ー 課題だなと思うことはありますか?

こんなに素晴らしい支援制度があるのに、私の周りでは「よっぽど大変な人が使うものでしょう」とサービスを利用したことがない人たちもたくさんいます。

実際に利用して思ったのは、そんなことは全くないという事です。

むしろ、自分自身はまだ平気だと思っている人にこそ、どんどん周りを頼って使ってみることをお勧めしたいです。

私の場合、いざヘルパーさんと話し始めると涙が止まらなくなったりすることもありました。そんなときに、意見やアドバイスをくれるのではなく、ひたすら頷いて聞いてくれるヘルパーさんたちの存在がどんなに心強かったことか。

「思っていたより私は我慢していたんだ」と気づいて、一人で抱え込む必要はないんだと思えるようになります。地域のサービスや周りの制度をもっと使って人に頼ること、この考えがより広まればいいなあと心から思っています。

ー これから加賀で子育てを始める方に一言お願いします!

加賀にきて一番強く思うことは「委ねられる環境がある」ということです。

例えば私が暮らしている山中温泉では、総湯という共同浴場があって毎日利用していますが、いつも同じ時間帯にくる方が、私の代わりに娘をお風呂に入れてくれたり、体を洗ってくれたりするんです。

息子を妊娠したときも、「生まれてきたら私が洗ってあげるからね。今から予約しておくわ(笑)」と自分の子どものように接してくださるところにすごく感動しました。

私たちは、夫婦揃って移住者なので親戚はこの土地にひとりもいません。
でも、血の繋がりは関係なく色んな人に頼ると楽しくなる場所だと思います。

私自身も産後セルフケアのインストラクターとして、様々な場所での教室展開に加えて、産後にしっかり休む知識を妊婦の方々に伝える活動をしていきたいなと考えています!


現在篠崎さんは加賀市のカフェでアルバイトもしている日もあるそう!

ご案内
本記事は、加賀市の人口減少対策室と共同で取材・作成をした記事になります。加賀市は、南加賀唯一の消滅可能性都市に含まれており、少子化という喫緊の課題を抱えていることは否定できません。そんななか、マイナスを受け止め前向きに地域で活動するお母さん・お父さんのパワフルさ、行政やNPOと上手に協働しながら自分たちの子育てをプラスに変えていく”子育て世代のしなやかさ”を色んな人に伝えたいと思い企画したのがこの記事の始まりです。実際に加賀市で子育てをしているご家族や子育て支援団体等のアドバイスをいただきながら、単なる支援制度の紹介では終わらない記事づくりを心がけています。この記事を通じて、加賀の子育ての1ピースが伝われば幸いです。