地域で家族以外の誰かに助けてもらったという経験は、「自分も誰かの支えになりたい」と思うキッカケをくれるのではないでしょうか。
近年、核家族化がすすむ中で、お父さんお母さんの子育てへの負担は、昔よりも増えてきています。一人で抱えてしまいがちな子育ての悩みや困りごとを、一緒に寄り添って考えてくれる人が近くにいたら心強いと思いませんか。
”地域で支え合う子育て”の一端を担う、加賀市 子育て応援ステーション「かがっこネット」。
その想いを取材させていただきました。
加賀市子育て応援ステーション「かがっこネット」
平成28年10月より、妊娠・出産から子育て期までを包括的にサポートする
加賀市子育て応援ステーション「かがっこネット」がスタートしています。
妊娠期・出産期・子育て期…子どもにまつわる悩みや不安ごとは段階を重ねるごとに変わっていきます。しかし、多くの自治体では、子育てステージに応じて担当窓口が分かれており、「どこに相談すれば的確なサービスが受けられるか分からない」という経験を持つ方も多いはず。
かがっこネットは、そんな課題を解決するために立ち上がったサポート窓口です。
子育てをする人の あらゆる悩みや困りごとをワンストップで受け止め、妊娠期から子育て期(おおむね0歳~18歳)までの様々なご相談を受け付けています。
今回は、かがっこネット所長の藪井芳恵さんと、所長補佐の北口加代子さんにお話をお伺いしました。
左:所長補佐 北口加代子さん 右:所長 藪井芳恵さん
Q1かがっこネットのサービス内容について、改めて教えて下さい。
かがっこネットでは、加賀市にあるさまざまな子育て支援サービスや関係機関の中から、相談者のニーズにあった情報提供や、該当機関への橋渡しを行っています。
例えば、離乳食の進め方が分からない時は、栄養士さんに橋渡しすることも出来ますし、
保育園の入園手続きの進め方が心配な方には、情報収集をして入園までを一緒にサポートします。ご紹介した機関に一人で行くのが不安な方には、同行支援も行っています。
子育てにまつわる悩み相談も受けていますので、「周囲の人には話しにくいけど誰かに悩みを聞いてほしい」などの際にも、気軽にご相談ください。
お母さんだけではなく、お父さんやおじいちゃんおばあちゃんも、子育てに関する困りごとやお悩みをお持ちの市民の方ならどなたでもご利用いただけます。
相談は、秘密厳守・無料です。電話相談・来所相談の他に、来所が難しい方には訪問支援も行っています。(ご利用時間帯などの詳細はこちらでご確認ください。)
Q2 「子育て応援パートナー」について、聞かせて下さい。
かがっこネットには、保健師・保育士・社会福祉士・家庭相談員など、
専門知識を持つ”子育て応援パートナー”と呼ばれる相談員が、6名在籍しています。
個々の専門知識を活かしつつ、子育て応援パートナー同士で連携を取りながら相談に応じています。
かがっこネット子育て応援パートナーの皆さん。
かがっこネット開設以前は、保健師による妊娠・出産期のみの支援にとどまっていたため、利用者の多種多様な悩みに応えきれないこともあったのですが、専門知識を持つ相談員が専任で配置されたことにより、多くの利用者のニーズにお応え出来るようになりました。
子育て応援パートナー同士で協力し合える体制が整ったことで、同行支援や訪問支援などの新しい取り組みも始まりました。他のサービスへのつなぎ役として、以前よりもサービスのすきまを埋められるようになったと感じています。
Q3 かがっこネットが大切にしていることはどんなことですか?
気軽に相談できる体制と雰囲気づくりを大切にしています。
お子さんを遊ばせながら気軽に来所相談が出来るように、どなたでもご利用いただけるオープンなキッズスペースに加えて、今春から新しくかがっこネット専用の個室も開設しました。
是非、お子さんと一緒に気軽にお越しいただきたいです。
今春より新設された、かがっこネット専用の相談スペース。
部屋の中には、授乳室やおむつ替えスペース、トイレも完備。
また、相談を受ける際は、お子さんにとって何が一番いいかを一緒に考えるのはもちろんですが、ご家族の気持ちに寄り添って話を伺うことも大切にしています。
お母さんやお父さん、子どもを支えるご家族は色んな想いを持って子育てされていますので、子どもを中心に、ご家族の想いを受け止めながら支えていきたいです。
Q4 かがっこネットをどんな方に利用してもらいたいですか?
加賀市外から嫁いで来られたお母さんは、特に孤立しやすいと感じています。周りに頼る人がいない方には特に頼っていただきたいです。
地元から出て場所が変わると、周りとの繋がりを一気に失ってしまいますので、本来子育てをする力をちゃんと持っているお母さんでさえも、気持ちが落ち込んでしまうことも多いんです。
移住を考えていらっしゃる方が、移住前にご相談に来られることもあるんですよ。
各保育園の雰囲気や小学校区など、地元の方でないとなかなか分からないこともありますので、「こんなこと相談してもいいのかな」という小さなことでも構いませんので、ぜひ頼ってほしいです。
Q5課題や、これからチャレンジしたいことはありますか?
かがっこネットは、2017年に「かが交流プラザさくら」に引っ越しをしたばかりです。
もっとその存在を知ってもらうためにも、積極的な情報発信は必要だと感じています。
「かが交流プラザさくら」で実施される4か月半健診では、かがっこネットの相談員も同席し、絵本の読み聞かせと絵本のプレゼントを行なっています。母子手帳を受け取るときや、チャイルドシートの助成を申請するときなど、別の用事で市役所へ来られた方に対しても、かがっこネットをご案内させていただいています。
子育て中の方が市と関わるタイミングを逃さずに、困った時にはかがっこネットがあるということを伝えていきたいです。
また、かがっこネットの周知をすすめるとともに、今後はかがっこネットを身近に感じてもらえるようなイベントを増やして、気軽に相談できる機会を設けていきたいと思っています。
平成30年度は、毎年開催の講演会の他に、かがっこネット主催で「子育て講座」を開催しました。ゆくゆくは出張相談会なんかも出来たらいいですね。
最後に、利用者の方にメッセージをお願いします!
今の時代の育児は本当に大変です。おじいちゃん、おばあちゃんも勤めている方が多く、身近な人を頼れない方も多いのではないでしょうか。
お母さんやお父さんは、自分は親だからと一生懸命で、一人で抱えようとする方が多いですが、地域の人に応援してもらいながら、みんなで一緒に子育てをしていきましょう!
加賀市子育て応援ステーション「かがっこネット」
住所 石川県加賀市大聖寺八間道65番地 かが交流プラザさくら1階(加賀市民病院跡施設)
URL https://www.city.kaga.ishikawa.jp/kenkoufukushi/kagakkonet/kagakkonet_map2_2_2.html
TEL (0761)72-2565
FAX (0761)72-5626
E-mail kagakkonet@city.kaga.lg.jp
ご案内
本記事は、加賀市の人口減少対策室と共同で取材・作成をした記事になります。加賀市は、南加賀唯一の消滅可能性都市に含まれており、少子化という喫緊の課題を抱えていることは否定できません。そんななか、マイナスを受け止め前向きに地域で活動するお母さん・お父さんのパワフルさ、行政やNPOと上手に協働しながら自分たちの子育てをプラスに変えていく”子育て世代のしなやかさ”を色んな人に伝えたいと思い企画したのがこの記事の始まりです。実際に加賀市で子育てをしているご家族や子育て支援団体等のアドバイスをいただきながら、単なる支援制度の紹介では終わらない記事づくりを心がけています。この記事を通じて、加賀の子育ての1ピースが伝われば幸いです。