新入生にきく。石川県加賀市に移住し伝統工芸を学ぶ理由。

石川県加賀市には、漆器の木地づくりの技術を磨くための研修所があります。
こちらは全国でも珍しい研修施設となります。

↓詳しい記事はコチラ(H30年度の応募は11月頃にスタートします)
https://kagagurashi.com/post-1435/

全国でも珍しいということで、各地から入学希望者が集まる同研修所ですが、
今年は全部で5名の新入生が基礎コースに入学し、内4名が県外からの入学です。

今回は、新入生を代表して2名の方に取材してきました!

真船由佳さん

栃木県那須町出身。

大学時代に美術教育を専攻し、漆器に関わり興味を持つも、
漆(うるし)により肌がかぶれてしまい、卒業後は小学校の指導助手として活動。

その後、勤務先の閉校にともない職を変えるも、
「本当に自分がしたかったことは何か」という原点に立ち返った時に、
学生時代に漆器に携わったことが忘れられず、30歳で本研修所への入学を決断。

中谷心さん

兵庫県尼崎市出身。

高校時代は総合学科に進学し、美術を中心に授業を選択

総合学科とは…

「普通科」「専門学科」に並ぶものとして、導入された科。 幅広い選択科目の中から生徒が自分で科目を選択し学ぶことで、生徒の個性を生かした主体的な学習を重視する学科。

参考:文部科学省 総合学科について

高校三年時に木工芸コースを履修した事をきっかけとして、木を挽き”器”を作ることに興味を持つ。

その後、社会経験と本研修所への入学資金を用意することを目標とし、
高校卒業から二年間アルバイトを行い、20歳で本研修所へ入学。

― 挽物轆轤(ひきものろくろ)技術研修所を知ったキッカケは?

真船さん(以下:真)
石川県に漆器関連の研修所が幾つかある事はネットで調べて知っていました。
中でも加賀市の研修所では、器の元となる挽き物から学べることが魅力でしたね。

中谷さん(以下:中)
うちは「手に職」を持っている家族が多いので、
自然と家族内でも”職人”や”伝統工芸”などの話題があがることが多いんです。
その影響からか、この研修所のことは高2の時から知っていました。

― 入学の動機を教えてください。

:やっぱり大学時代の思い出です。
一度授業で挽き物をやってお椀を作ったんですが、それが凄く楽しくて。

「挽き物を学ぶ」となると、ここしかないんです。
木を加工する楽しさは元々知っていたのもあって、繋がった感じでしょうか。

― 北陸に移住することに抵抗はなかったですか?

:もともと北陸には良いイメージをもっていました。
伝統文化が盛んなイメージもありましたし…。

:自分も兵庫を離れることには抵抗ありませんでしたね。
もともとアウトドアも好きで7年位続けているので、田舎暮らしも嫌ではなかったです。

加賀友禅などの伝統工芸が盛んで、海鮮がおいしそう、そして雪が少し心配。
あとは新幹線で観光客が多そう…そんなイメージを持っていました。

― 入学してわずか1ヵ月。どんな日々を過ごしていますか?

:初めての一人暮らしで、母の偉大さを知りました(笑)。
免許をまだ持っていないので、自転車通学なのも大変です。
生活費を稼がないといけないので、既にバイトも始め、働きながら勉強の日々です。

:私もバイトを始めました。
旅館の配膳係なんですが、お皿とお料理を勉強したくて。
旬の食材や季節の器をみると、自分の勉強にもなりますね。

:授業に関しては、最初の道具づくりで大変な筋肉痛に…(笑)。
木を削るための道具・カンナも自分たちで作るので、鋼鉄を打ち研ぐんですが、
腕を大きく振る必要があるので、最初は字もかけないほどの筋肉痛になりました。


(道具づくりを指導してもらう様子)

― 住まいはどのようにして探しましたか?

入学者にむけて、研修所が物件を紹介してくれたので、
そこから自転車でも通学できるアパートに決めました。

:たまたまご縁があって、昨年度卒業した学生の後を使わせてもらっています。
温泉も近い場所なので、毎日入りにいってます。

― これまで住んでいた地域と加賀市は違いますか?

まず音が静かですね。
実家の尼崎市では車通りも多かったので、
騒音もありましたが加賀市の場合には日中も本当に静かです。

:私の場合は、実家の方が田舎なので、むしろ便利に感じます。
住んでいる場所にもよると思いますが、徒歩圏内に八百屋さんがあったり…。
自然豊かな川沿いを散歩できるのも嬉しいです。

:改善してほしいところは、街灯が少ない事かもしれません。
自転車で生活しているので、夜道が怖くって、、気を付けて通勤してます。

― 卒業後の目標はありますか?

:木地を挽いて食べていける人になりたいです。
そして先輩方のようにいつか独立したいですね。

:私もですね。一生できる仕事がしたいと思ってこの道に進んだので。
将来的には自分の色を出した作品も出来れば良いなと思います。

:挽き物はライフワークになり得るのが魅力で入学した部分もあるので、
この伝統を繋ぎつつも、新しさを感じてもらえるような取り組みも考えて、
もっと多くの人に漆器を使ってもらいたいです。

:そうですね。
ぬくもりのある自然のものは良いということを伝えていきたいです。

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