働く方が安心して預けられる場所でありたい。加賀市の病児・病後児保育室「かもっ子」の想いとは。

働く女性が増え、家族のあり方が変わってきた今、働きながら安心して子どもを育てることができる環境を求める方は多いのではないでしょうか。

”子どもの健康と幸福のためにできるお世話を”

加賀市医療センター併設「かもっ子」は、病気のお子さんのために休みが取れない家族に代わって、病児・病後児を保育する施設です。

加賀市の働くお父さんお母さんを支える、かもっ子の想いを取材させていただきました。

加賀市医療センター 病児・病後児保育室「かもっ子」

平成28年 加賀市医療センターの統合・開院に伴い、これまで地域に複数あった病児保育施設を一箇所に集約。加賀市公営の病児・病後児保育施設として院内に「かもっ子」が開設されました。

新たにスタートを切ったかもっ子は、これまで2つの病院で培ってきた病児保育サービスの手厚さを受け継ぎつつ、子育て世代の経済的負担を減らしながら、よりきめ細やかな病児・病後児保育サービスの提供を実現しています。

加賀市医療センター 病児・病後児保育室 看護師長 川崎靖子さん

富山県出身。結婚を機に加賀市へ。
約40年間看護師として臨床の現場を支えてこられた方です。

平成30年4月より、かもっ子に着任して間もなく1年。
”望まれていることには出来る限り応えたい”という想いで、かもっ子を牽引されています。

Q1. 改めて、かもっ子のサービスについて教えていただけますか?

働くお父さん・お母さんに代わって病気のお子さんをお預かりします。
「突然、子どもが熱を出したけれど、どうしても仕事を休めない」など、急な当日の申し込みにも可能な限り対応します。

かもっ子を利用するには事前登録と、医師連絡票が必要です。


※事前登録、利用申込は当日でも可。ご利用方法の詳細はこちらでご確認ください。

職員は、看護師3名、保育士8名が在籍しています。
どの時間帯も看護師1名は必ず滞在し、お子さんの病状の急な変化にも対応します。

Q2. 病児保育は費用がかかるイメージですが…

ご利用料金は、半日(4時間以内)1,000円、1日(4時間以上)1,500円、別途食事代500円をいただいております。

多子世帯の経済的負担を減らすために、所得に応じた減免制度があります。また、代行受診やお迎えサービスは無料でご利用いただけるんですよ。

どちらも利用者の方にご好評いただいているサービスです。事前の医療機関への受診や、お子さんを迎えに行くのが難しい場合は、かもっ子の利用申し込み時にご相談下さい。

Q3. かもっ子が大切にしていることは何ですか?

病児の安全と、職員の安全を守ることを、特に大切にしています。

具合の悪いお子さんは、いつ容態が悪化するか分かりませんので、
お預かりするお子さんの病状の些細な変化は特に注意して看ています。

病状の悪化等の緊急時にも適切に医師の診察が受けられるよう、マニュアルを職員で共有し、看護師と保育士が連携できる体制を整えました。

また、病気に応じて個室と大部屋を使い分けたり、使用したおもちゃの消毒をするなど、
院内での感染防止に努めています。

さらに、職員も感染症の予防接種を受けたり、お子さんの病状に応じて担当を替えるなど、職員が元気に働けるよう配慮しています。


感染を防ぐため、空調にも気をつけているとのことです。

Q4. 病気で不安になるお子さんも多いかと思います。通常の保育と比べて大変なことは?

具合が悪いお子さんは気持ちも不安定ですから、安心して楽しく過ごせるよう、配慮は欠かせません。おもちゃや折り紙など、身体に負担がかからない遊びかたを工夫するのはもちろんですが、お子さん達にとっても「楽しい」と思えるような雰囲気づくりを大切にしています。

特に、2歳以下の小さいお子さんは、一人で機嫌よく過ごすことが難しいですから職員がマンツーマンでケアすることも多いです。

保育士はみんなしっかりしていますよ。病状に注意し、お子さんの観察をしながら過ごしています。母と離れグズっていても上手にあやして気持ちを落ち着かせますし、笑顔で遊んでいるお子さんを見ると、とても頼もしく思っています。

保育園と違って一緒に過ごす時間は一瞬ですが、お子さん達が元気に成長した姿を見るとやっぱり嬉しいです。

Q5.家族のあり方が変わってきたことについてはどう感じますか?

お母さんがお子さんを預けて働くのが当たり前の時代になってきたと感じています。
以前に比べると、かもっ子でも1歳未満の小さいお子さんをお預りすることが増えてきました。

働きながらお子さんを育てるって本当に大変なことだと思うんです。

お母さんは24時間子どもを看て当然でしょと周りは言うかもしれませんが、果たして本当にそうでしょうか。

お母さんだけでなくお父さんにも言えることですが、お仕事が終わったあとも、家に帰れば育児や家事が待っています。毎日が追われているような気持ちになる方も多いと思います。だからこそ、子どもが病気になってしまって助けてほしい時には、安心して預けられる場所が必要なんです。

病児保育を必要とする方に、もっと かもっ子のことを知ってもらって、頼ってほしいと思います。

Q6. 今後の課題は?

利用の申し込みをお断りすることは、職員の数を増やすなどの対応をしてからは減っているのですが、定員や病状などで、やむなくお断りすることもあります。

頼ってきてくれた方を受け入れられないことは、すごくジレンマを感じていて、今後解消していきたいことの1つですね。

子どもの体調に関わる問題なので、なかなか難しいことではありますが、実は申し込み後のキャンセルが他の親御さんのお断りに繋がっているケースもあります。

キャンセルしなければならない時には少し早めにご連絡いただくだけで、サービスを必要としている病児を預かれることに繋がりますので、ぜひ地域のみんなでこのサービスをよくしていきたいなと思います。

登録者数も、これからもっと増やしていけたらいいですね。

最後にメッセージを!

基本的には働く方のための施設ですが、冠婚葬祭など外せない用事など、病気のお子さんの預け先が見つからない場合にもご相談ください。

お子さんの看病していると自身の具合が悪くなることもあるかと思います。医療機関を受診する間、病気のお子さんを一時預かりすることも出来ますよ。

お父さんお母さんが元気に働き、笑顔で接することは、お子さん達の成長にはとても大切です。お子さんが病気の時は、ぜひ頼ってくださいね。

加賀市医療センター 病児・病後児保育室 かもっ子

住所 石川県加賀市作見町リ36番地

URL http://www.kagacityhp.jp/contents/kamokko.html

TEL <直通>(0761)76-5179 <代表>(0761)72-1188

ご案内:
本記事は、加賀市の人口減少対策室と共同で取材・作成をした記事になります。加賀市は、南加賀唯一の消滅可能性都市に含まれており、少子化という喫緊の課題を抱えていることは否定できません。そんななか、マイナスを受け止め前向きに地域で活動するお母さん・お父さんのパワフルさ、行政やNPOと上手に協働しながら自分たちの子育てをプラスに変えていく”子育て世代のしなやかさ”を色んな人に伝えたいと思い企画したのがこの記事の始まりです。実際に加賀市で子育てをしているご家族や子育て支援団体等のアドバイスをいただきながら、単なる支援制度の紹介では終わらない記事づくりを心がけています。この記事を通じて、加賀の子育ての1ピースが伝われば幸いです。