新型コロナウイルスの感染症対策による休校で子ども達は学校へ行けず自宅で過ごす日々を送っています。そんな中、ひとりの女性が子ども達に昼食を届けたいと手作り弁当の宅配サービスをスタートさせました。愛情がたっぷり詰まったお弁当と、彼女の想いを取材させていただきました!
食べるのも作るのも大好き! 二児のオカン 堂下亜也さん
大阪府出身。結婚を機に加賀市へ移住。6歳と4歳の子をもつ二児のお母さんです。
加賀市黒崎町で山ん中たまご園をご夫婦で営みながら、平日は学校給食の調理員として勤務、夏休みは黒崎海岸 「浜茶屋入のや」の女将として海の家を切り盛りするなど、大好きな食にまつわる仕事を掛け持つ毎日を送られています。
「食べることも子育てもみんなと一緒のほうが楽しいから」と、有志のママ達で結成した「かしきのわ」のメンバーとして昨年度は月一で子ども食堂を実施したり、自身が運営するリユースハウスでは共同炊事や餅つきをしたりするなど、みんなで楽しめることをどんどん開催。食や子育てで地域の人と交流することを大切にされています。
Q.休校に伴いスタートした「ろくさ弁当」について教えて下さい!
2020年3月4日~23日までの休校期間中、学校給食が予定されていた日にお弁当の販売をはじめました。その日の朝に手作りした出来立てのお弁当をご自宅までお届けします。
価格は1食500円。配達料は無料です。 ご予約はネットから、当日朝8時半まで承っています。
【ろくさ弁当予約フォーム】
https://forms.gle/2RwVrCdJMSDLCwWD9
対象は加賀市内の小中学生とそのご家族です。休校中でお子さんのお昼ご飯作りが負担になっているご家庭にぜひご利用いただきたいです。
また、食事作りをちょっとお休みしたいお母さん達にも役立ててもらえたらと思っています。
仕事や育児で疲れた時や料理が苦手な方など、小中学生のお子さんがいないお母さんもお気軽にご相談ください。
Q.お弁当をやってみよう!と決めたときの心境を聞かせてください。
学校と給食調理の仕事の休みが決まった時「私には何ができるかな」とすぐに思って、まずは夫に相談しました。
最初は給食の食材や人手のロスが出ないよう学校施設を使って炊き出しのようなことができないかとも考えたんですが、学校も行政も大変な時期にそんな大きな提案はできなくて。だから、自分にできる範囲で、私ができることをやろうと思ったんです。
運営するリユースハウスろくさが飲食店営業許可を取得していたこともあって、スムーズにお弁当販売をスタートさせることができました。
お弁当をはじめるにあたって、子ども達に食事を食いっぱぐれないでほしいという想いとお母さん達を救いたいという気持ちはすごくありました。
ただ、今回新型コロナで大変な時期だから私も何か行動を起こそうと思ったわけではないんです。状況がどうとかはあんまり関係なくて、何をしたら自分がこの一瞬を楽しめるかを考えて行動を選択しているだけなんですよ。
「みんなで美味しいものが食べたい!」とか、そんなシンプルな思いでいつも動いている感じです(笑)
Q.ろくさ弁当のこだわりポイントを教えて下さい!
地元の食材を食べて欲しいと普段から思っているので、野菜は生産者さんの顔が見えるJA元気村のもの、魚は橋立産のものをなるべく使うようにしています。
お弁当の内容や味付けは給食メニューを参考にしています。汁物がない分蒸し野菜を足したり、牛乳がない分カルシウムを補う小魚を足したりして、足りない栄養をプラスすることでなるべく給食の栄養バランスに近いお弁当を届けられるよう工夫して調理しています。
給食で子ども達に人気の大豆と煮干しのごまからめをアレンジした一品。やみつきのウマさでした!
Q.お弁当の反響はどうですか?また、実際にやってみて課題などはありますか?
応援の声や、頑張ってるね!という声をすごくたくさんもらいました。食材を寄付したいとおっしゃってくださる方もいて本当にありがたいです。
利用してくださったお母さんから「子どもがペロッと完食したよ!」と声を頂いたときはすごく嬉しかったです。リピーターや期間中毎日注文してくださる方がいらっしゃるのも嬉しいですね。
ただ、数日間販売してみてSNSの情報発信だけではお弁当を必要とする方に情報が行き届いていないのかなとも感じています。お弁当は一人で作っているので電話注文を受けたりチラシを作って配ったりまでは手をまわせていません。もし、小中学生のお子さんがいるご家庭をご存知でしたら情報をシェアしていただけると嬉しいです!
川端椎茸園さんから寄付でいただいた規格外のシイタケ。堂下さんがお弁当をはじめると知ってすぐに連絡をくださったそうです。
3人のお子さんがいるお母さんは今回2度目のご利用。「子ども達がちゃんと野菜を食べるかな?と最初は少し心配でしたが、前回全部食べてくれて好評だったのでまた注文しました!」と話してくださいました。
Q.今回の取り組みでは財団からの支援もあったそうですね
はい、お弁当の宅配サービスをはじめた後にあくるめ財団の方から連絡をいただいて今回助成を受けられることになりました。
一般財団法人 あくるめ
石川県加賀市を主なフィールドとする地域特化型の財団法人。加賀市で新型コロナウイルス感染対応に対する取り組みを実施している団体や個人の支援を2020年3月7日よりスタートさせた。
最初は自分の活動が対象になると思わなかったんですが、無事に採択もされ、活動を見てくれる人がいるんだなってことがすごく嬉しかったです。
あくるめ財団の支援のおかげで材料費にも少しお金がかけられるようになったので、お肉の買い付け先を普段給食に卸している業者さんへ変更できたのも良かったことの一つです。わずかな量ですが、休校で困っている地元の業者さんの力に少しでもなれたら嬉しいですね。
最後に、子をもつ親御さんや地域の方へメッセージをお願いします!
以前、卒業する中学3年生へ「逆風に負けないで堂々とした君たちでいてください」という言葉を贈ったことがありますが、こんな時だからこそみんな堂々としていてほしいと思います。
マスクをしながらビクビクと外を歩いたり咳をしたら自分が悪いみたいなことばかりを気にしたりして過ごすんじゃなくて、もっと自分のやりたいことに目を向けて、やりたいことをやって堂々としてたほうがいいんじゃないかな。
お母さん達も、家に子どもがおるからアレもできないコレもできないと思うんじゃなくて、子どもといるからこそできることを一緒に考えられたらいいなと思います。
空いた時間を自分は何に使いたいのか、家族とどう過ごすのか、1人1人が本当にやりたいことを見直す機会になったらいいですよね。
リユースハウスろくさ
住所:石川県加賀市黒崎町ヌ110
ろくさ弁当 予約フォーム:https://forms.gle/2RwVrCdJMSDLCwWD9
ろくさ弁当 問合せ(堂下):tamagoen63@gmail.com