竹の浦館
1930年、竹の浦館の前身である「瀬越小学校」が生まれた。
-今なお残る、二宮金次郎像。
人材育成を願い、村の有志の寄付により建てられた木造の小学校だったが、
統廃合により閉校を余儀なくされ、その後「加賀市青年の家」として利用されるも、
校舎の老朽化を理由に取り壊しの声があがる。
そんな中、地元の人々の強い熱意により、竹の浦館の存続が決定し、
2002年からNPO法人「竹の浦夢創塾」がその運営に当たる。
人々が交錯し出会う場として、地域イベントや学生ワークショップの会場として愛され、
また、日本遺産にも選ばれた”北前船”のストーリーを汲んだ発酵食品の開発も行う。
-今では珍しい木造の小学校。全国から視察がくる。
竹の浦館・管理人 畑 真佐武さん
石川県加賀市出身。
卒業後、ご実家の家業である醤油屋を手伝っていたところ、
竹の浦夢創塾のメンバーから「竹の浦でオリジナルのお酢を手掛けないか?」と誘われる。
着任から8年目を迎えた2017年、館内食堂の閉店が決まり、
それに伴い、オリジナルの酢づくりもストップさせることが決定したなかで、
”次の竹の浦館”を担うキーパソンの一人。
Q1 竹の浦館は、加賀市の人にとってどんな場所ですか?
自分らの世代にとっては、利用者として合宿等で使っていたので
思い出もありますし、懐かしい場所です。
今の20歳から上の世代は、みんな何らかの形で竹の浦館に訪れているので、
同様に懐かしい場所に感じられていると思います。
いまでも、講堂や和室・調理室などをレンタルしていただけるので、
地域のイベントであったり、ライブやワークショップも開催されていて、
当初の目的である「地域交流の場」としても使われ続けています。
/PLUSKAGAプロジェクトの会場もいつも”竹の浦館”/
https://kagagurashi.com/3009-2/
-雰囲気のある講堂。これまで沢山のイベントが開催。
Q2 「竹の浦×発酵」を始めたきっかけを教えてください。
竹の浦館の前身である瀬越小学校は、当時、村の有志の方々の寄付により建てられました。
その有志の方とは、日本遺産にも選ばれた北前船の二大船首なんです。
北前船とは…
江戸から明治中期にかけて、大阪から瀬戸内海、山陰、北陸、東北を経て、北海道に至る西廻り航路に従事した北前船。輸送機能のみではなく、商社としての機能も持ち合わせ、近世物流の大動脈を担っていた。
引用元URL:北陸の歴史 ニッポンを運んだ北前船
-館内にはたくさんの北前船の資料
北前船では、長期間の渡航に耐えうる保存食品として、
加賀の伝統食でもある「へしこ(サバを発酵させたもの)」を船に乗せていました。
船首の寄付によって建てられた竹の浦館で、彼らが当時運んでいたものを作る。
竹の浦館で発酵食を手掛ける理由は、この時代のストーリーを汲んでのものなんです。
Q3 オリジナルのお酢について教えてください。
竹の浦館では、オリジナルのお酢を三種類ご用意しています。
- たけのこ酢
- 梨酢
- イチゴ酢(たけのこ酢にイチゴを漬け込んだお酢)
たけのこも梨も、加賀市で採れたものです。
規格外品を仕入れ、お酢へ加工しているため、無駄もありません。
食堂の閉店を機に、オリジナル酢の生産も一旦すべて中止となります。
そのため、現在の在庫がきれたら販売もなくなります。
防カビ材や着色料はもちろん使用していませんし、
この限りあるお酢をもっと色んな方に食べていただきたいです。
加賀市の野菜や果物を使っていますので、地元の人にも是非!
Q4 最後に、今後のことを教えてください。
今回、食堂の閉店とオリジナル酢の製造中止に関しては、
驚かれた方も沢山いらっしゃると思います。
ただ、竹の浦館の活動を一旦スリム化することで、
竹の浦館に本当に求められている需要を探りたいと思っています。
2002年にNPO法人「竹の浦夢創塾」が発足して15年。
本当に竹の浦館は沢山の方々に支えられてきました。
15年も続いたNPO法人の今後の継続性をかんがえたとき、
収益を出せる可能性を探る局面にきたのだと思っています。
竹の浦館はこれからも残りますし、レンタルスペースの貸し出しは継続します。
これまで食堂やお酢に関わってくれた人の気持ちと共に、
竹の浦館の本当の価値を、もう一度みなさんと探っていきたいです!
-食堂をささえてきた皆さんと。
竹の浦館の食堂は2017年5月28日をもって終了となります。
管理人・畑さんが教えるオリジナル酢のお勧めの調理法はコチラ。
●たけのこ酢
癖がなく、スキっとした感覚のお酢なので、素材の味を活かしたい時におすすめです。
カニ酢、酢飯、冷麺などにも合います!
●梨酢
洋風の料理にあいます。梨がふわっと香るので、バルサミコ酢のようにサラダにかけるのも◎
春雨とわかめの和え物などにどうぞ。
●イチゴ酢
牛乳や炭酸で割ると飲むと大変美味しいです!クランベリーソースのような感覚でどうぞ◎
住所:石川県加賀市大聖寺瀬越町イ19-1
TEL:0761-73-8812
FAX:0761-73-8813