あくるめ財団の代表理事が語る、「今、財団を立ち上げる意味」

2017年8月、石川県加賀市にある財団が設立されました。
それは、国や自治体が立ち上げたものではなく、ある個人の思いが実って設立されたもの。

今日は、そんな財団を作った方に取材しました。

一般財団法人あくるめ

2017年8月に設立。

一般財団法人あくるめ(通称:あくるめ財団)は、石川県加賀市への支援に特化しており、
同市をフィールドにした事業に対して助成金を支給している。

”若者一人ひとりの小さな想いを支援し、持続可能な未来に向かって
子ども達の笑顔がいきかう元気な地域をつくること”

この理念のもと、2017年9月より第一弾となる支援事業の募集を開始し、
来年度には、自主事業も視野にいれ日々活動中。

代表理事 霜下順子さん

石川県加賀市出身。

高校卒業後、京都に住所を移し”京都調理師専門学校”に進学。
そのまま京都で就職した後、二十歳の時に加賀市にUターン。

現在、DMM.com Baseの専務取締役を務める傍ら、
加賀市最奥の地で週末蕎麦屋「権兵衛」を営む。

その上、趣味のソフトボールも現役で続けており試合にも積極的に参加。

多忙を極めるなか、2017年にあくるめ財団を設立。
同じ思いを持った仲間を集い、石川県加賀市に特化した財団の運営を行っている。

- 経歴が盛りだくさんで、追いつかないです…。

父親の影響が大きいと思います。

うちの父親が商売を始めた時は戦後だったこともあって、衣料品を扱っとったんやけど、
その後、カメラ屋・バー・うどん屋と、”新しいもの好き”ってこともあって色々やっとった。

母親は普通に田舎の農家の生まれだったから、
いきなり飲食店の仕事を手伝わされたり大変やったと思う…(笑)

そのあとも、釣り堀ブームに乗っかって川魚を出すレストランもしとったし、
ラーメン屋や浜茶屋(海の家)とかも経営してて、
私が二十歳の時に京都から帰ってきて、それらを手伝ってたのが始まりなのかな。

ー そこからDMM.com Baseを立ち上げた?

まあ、そんな家で育ってるから、商売に対しての抵抗感はあんまりなくて、
私が23歳くらいの時に、父親と一緒にDMM.com Baseの前身である会社を立ち上げました。

今はなきユニー(総合スーパー)で、昼はフルーツパーラーをやりながら、
夜になったら市外で経営してたレストランを手伝いに行ったり、二本立てでやって。

だからその頃は、会社の事業内容も飲食関係がメイン。
そのあとに弟が経営に加わりビデオ屋を始めたり、、今のDMM.comっぽい事業展開がじわじわと。

最近は会社の展開も超特急になったので、ついていけなくなってますけど・・・(笑)


「DMM.comが加賀市から始まったてことを知らない人も多いんじゃない?」と笑う霜下氏

ー 蕎麦屋「権兵衛」はいつ頃スタートされたんですか?

平成7年にオープンさせたから41歳のとき、やったと思います。

まあ、会社はそのまま続けてるんやけど、
旦那となんかをやりたいねっていうのがあって。

というのも、旦那はもともと市内でも最奥と呼ばれる杉水町(すぎのみず)の出身で、
この自然に囲まれる家を残していきたいね」っていう思いは二人とも持っていたから。

その中で、蕎麦なら山でもやっていけるかなと。
飲食店用に旦那の実家を改装して、週に1回か2回営業しながら、
修理代を稼げればいいんじゃないかという気持ちでスタートさせましたね。

そば工房「権兵衛」

住所: 加賀市山中温泉杉水町ハ33番地

電話番号: 0761-78-1853

サイトURL:https://hyaku-warai.jp/food/

ー そして今、あくるめ財団の立ち上げを。

そうですね。今年の8月に設立しました。

日本人って、お金貯めるというのはよく言われていますが、使い方は教わらない。
でも本当は、”何のために使うか”、というのが大事だと思っていて。

じゃあ、自分は何に使ったら幸せかなって考えてみたんです。
物欲はあまりなくて・・・。

だんだん自分の頭の回転も悪くなるし、体の動きも悪くなる。

これは年齢とともに、誰にでもある話で避けられるないので、
それならば、「若い人たちの想いをサポートして、自分も楽しむ。」、
そんないい循環というか、お互いにとっていいものを作りたいなと思って、設立を決めました。


設立後、さっそく開かれたあくるめ財団の説明会の様子

ー この財団を加賀市にとってどういう存在にしたいですか?

定款に書いた通りですが、若者一人ひとりの小さな想いを支援することで、
子ども達の笑顔がいきかう元気な地域になればいいなと思っています。

ただ、上から目線で加賀市を良くしようという考えじゃくって、
みんなが楽しいと思えるような場所になるよう、そんな活動をしている人と、
一緒にやっていけたらなあ、みたいな感覚。

”お金で助ける”というのではなくって、一緒に考えて、
一緒に良くするために使っていけたらいいんかなという思いはあります。


あくるめは、「未来に繋がる芽」から生まれた造語だという

ー あくるめ財団として自主事業も視野に入れているとか。

今回、事業を募集してみて、良い活動だな、応援したいな、と思う団体が沢山ありました。

ただ、「助成金を渡してハイ終わり」といのは勿体無いという気持ちもあるし、
そこから見えてきた地域の課題だったり子育ての問題に対しては、
もう少し踏み込んで考えて、単発の助成というよりは長期的に考える必要もあるんかな、と。

10月で今年度募集した事業の審査がいったん終わるので、
来年度の展開についてまたメンバーと考えていきます。

こちらからの募集を待つのではなく、「こんなことやりたいんです。」とか、
「こんな想い聞いて」とか、一緒に考えてくれる人、大歓迎ですよ。


説明会では多くの質問が飛び交った

ー ずっと加賀市をみてきて、何か変わってきましたか?

これまでは、そんなに若い人の顔が見えてこなくって、
それが最近、若い人たちが一生懸命に頑張っているなというのを感じる。

まあ、私が山に閉じこもってたから見つけられんかっただけかもしれんけど(笑)

最近になって、面白い子が沢山おるがいね、という感覚になったのは確か
そういうこともあって、財団を始めてみるのもいいかなと思ったんです。

結構いろいろな活動をしている人がいるし、面白い子もおるやん。
その子らがなんかするなら、サポートしてみたいって。


昨年、霜下氏が地域の若者が町づくりについて発表する会に参加した時の写真

ー それにしても忙しすぎませんか?(笑)

本人はそんな気はないんです。

だから、さぼる時はいなくなったりします(笑)


蕎麦屋・権兵衛での一コマ 撮影中も忙しく働きまわる霜下氏

一般財団法人あくるめ

公式サイト:https://akurume.com/

※こちらは、2017年11月7日の記事を再編集したものです。