お寺のこれからを、住職と学生で語ってみた。

石川県加賀市で、変わった取り組みをしている学生を見つけました。
彼は、学生最後の夏休みを市内のお寺訪問に捧げているといいます。

そんな彼に、副住職と今後のお寺について語っていただきました。

大学生・和田啓太郎さん

1996年生まれ。長野県出身。

大学進学を機に石川県へ住所を移し、金沢大学地域創造学類に進学。
現在大学四年生。卒業後は地元に戻らず石川県内で就職予定。

大学三年生の夏に加賀市の学生ワークショップに参加し、
そこから「人口減少社会と寺院の社会的役割」をテーマとして研究を進める。

恩栄寺・日下賢裕さん

石川県加賀市出身。

300年以上前から山中温泉にある、
浄土真宗本願寺派(お西)「恩栄寺(おんえいじ)」の副住職を務める。

25歳の時に恩栄寺を継ぐため加賀市にUターン。

寺業に加えて、仏教との接点・ご縁をより幅広い人と作るため、
インターネットで仏教を発信するサイト「彼岸寺(ひがんじ)」の運営者としても活動中。

Q1 和田さんの加賀市での活動を教えてください。

和田さん(以下:和):
2017年、自分が大学四年生の時ですが、加賀市内のお寺を全てまわろうと決めました。

きっかけは、三年生の時に参加した加賀市の学生ワークショップ「PLUSKAGA」です。
お寺の話を聞く機会があり、人口減少社会における寺院の役割を考えるようになりました。

「人口減少とむきあう加賀を、プラスに考え、変えていく。」 そんな言葉から始まったPLUSKAGAプロジェクトは、 新...

その後はワークショップではなく個人的なプロジェクトとして進めたんですが、
加賀市内のお寺を全て巡る「56ヶ寺調査巡礼プロジェクト」を企画し、
住職の方々にインタビューとアンケートをして回りました。

実際には40ヶ所の寺院にご協力いただいています。


調査巡礼プロジェクトのチラシデザイン

Q2 学生のこういった活動は、副住職からみてどう映りましたか?

日下さん(以下:日):
和田くんは、もともとお寺とは関係のない人でしたので、
そういった人がお寺に興味を持ってくれたことが率直に嬉しかったですね。

私たち寺院関係者も、他のお寺のことは意外と見えてるようで見えていません。
でも抱えている共通課題はきっとあるだろうと思っていました。

和田くんの活動を通じてそれを知りたいと思いましたし、更にもう一歩踏み込んで、
今後お寺が担っていくべき次の役割を、自分でも見つけたいと思いながら応援していました。

Q3 調査巡礼を通じて、感じた事を教えてください。

和:
やっぱりお寺って入りづらいな、と思いました(笑)。
雰囲気だけではなく、入口が分からなかったりと、物理的な入りづらさもあって…。
でも、実際に入ってみたら凄く普通で、そこにギャップを感じていました

またインタビューを通じてよく出た意見としては、
お寺の未来に危機感を感じつつも、どうすれば良いのか…。」という内容が多かったです。


和田さんの活動を地域のワークショップで共有している様子

日:
お寺の役割として、人が亡くなった時に関わるイメージを持つ方も多いと思いますが、
これからは、それ以外の関わり方や興味の持たれ方も増やしていきたいと感じています。

例えば、私が運営しているインターネット寺院「彼岸寺」というサイトでは、
お寺で行われている新しい取り組みやイベントを数多く紹介しています。

このサイトを通じて、いかにお寺が新しい事にチャレンジしているか
面白いなと思ってもらえるきっかけに繋がってほしいですね。


彼岸寺のサイト。
僧侶のラップバトルイベントや、本堂をクラブハウスにしたイベントなども紹介している。

Q4 お寺と地域の関わりをどのように感じていますか?

日:
お寺は地域があってこそ、本当にそう思っています。

先日、地域で学習塾を経営されている方に声を掛けていただき、
お寺学」というイベントで和田くんと一緒に対談してきました。

プレゼン形式でお寺の事を説明したり、ワークショップの時間を作ったり。
若い人に対して、仏教やお寺について伝える機会をいただけたのは有り難かったです。

これを機に、もっともっとお寺を地域に開いていきたいですね。


地元の子供たちを招いた子供会も毎年やっているという

Q5 これからやっていきたい事を教えてください。

和:
今回の「56ヶ寺調査巡礼プロジェクト」では、本当に色んな方にお世話になりました。
調査結果をきちんとまとめて、地域の方々に還元していきたいなと思っています。

また、今回一般の方にも協力をお願いしてアンケートに答えてもらったんですが、
「お寺はあなたに必要ですか?」という質問に対し、約70%が「はい」と回答しています。

これは、多くの人がお寺を必要と思っている証拠です。
アプローチ次第で、お寺は人口減少社会の大切な役割を担う存在になると感じました。


調査アンケート。たくさんの人から回答があったそう。(現在は受付しておりません)

日:
お坊さんの役割の一つとして、「仏縁(仏教との縁)をつくる」という事があります。

仏教に出会う場所はお寺だけとは限りません。

例えば地域の活動、例えばインターネット寺院、例えば法話、
様々なきっかけを通じて、仏縁を結んでいきたいと思っています。

これは、お寺だけでやろうとすると難しく、
だからこそ地域の方や興味を持ってくださる方の縁を大切にしながら
これからも積極的に交流を深めていきたいです。

恩栄寺

住所:石川県加賀市山中温泉湯の出町タ12

電話:0761-78-0644

サイト:http://onneiji.net/