石川県加賀市は梨の産地としても有名ですが、後継者が見つからず廃農地になるケースも増えています。
そんななか、かつて梨畑として使われていた広い敷地で山羊を飼うというチャレンジングでほっこりとする取り組みをしている方に出会いました。
ふるさと再生やぎプロジェクトREIWA
石川県加賀市の梨産地・小塩辻町(おしおつじまち)で2019年5月1日からスタートしたプロジェクト。
かつては梨畑として利用していた敷地内に山羊が放し飼いにされており、訪れた人々はのびのびと育つ山羊たちの様子を楽しむことができる。
現在は地域イベントや行事への出張も行なっており、子どもたちからの人気も集まっている。
オーナー 宇谷 一成さん
石川県加賀市生まれ。
高校卒業後は市内の運送業や建設業などを経験した後、建設会社を立ち上げて土木工事を中心とした事業を展開。
一方で、子どもの頃からの動物好きが高じて、自宅の庭では様々な生き物を育てており、現在はメダカ数百匹、にわとり9羽、犬3匹を飼っている。
山羊との出会いは2018年のこと。
最初は1頭だけの予定だったが、徐々にその数は増えて現在では10頭もの山羊を育てる。
ー 山羊を飼おうと思ったきっかけを教えてください。
庭の除草、つまり草むしりをどうにかしたい!というのがきっかけです。
田舎なんでね、お金はないけど敷地だけはあるんやわ。
とにかく草むしりが大変で、平日は仕事して、土日は草むしりで終わるという日もしょっちゅうで…。ガーデニングが好きやから除草剤も撒けんし、なんか出来ないかなあというのをネットで調べてたら「山羊がいい」っていうのを知ったんです。
草をすごい勢いで食べてくれるし、燃料もかからないし、エンジン音もうるさくないし、エコやし、これすごいってなって!僕も動物好きやし、ペットを兼ねて1頭育てるのもいいかもと安易な気持ちで手を出したんです(笑)
動物好きというだけあって、自宅のお庭には動物モチーフの可愛い置物がたくさん!
ー 身近な困りごとから山羊を飼うことを決めたんですね。
そうそう。
そこから1〜2年の準備期間を経て、いよいよ山羊を迎えることになったんやけど、その時に1頭飼いだと山羊が寂しがって鳴きやすいと聞いたので、最初から多頭飼いすることにしたんです。
本当は2頭くらいからスタートさせたかったんやけど、ちょうど別の牧場で3頭まとめて引き取って欲しいと言われたので、縁を感じて4頭育てることを決めました(笑)
山羊を飼うようになって、地元の90歳を超えるおじいさんから、「懐かしいわ〜。昔はどの家でも飼っとったんやで」と教えてもらったんです。昔は山羊のお乳で育ってた赤ん坊もいると聞いたし、それくらい遥か昔から人間と山羊は一緒にいたんやなと、そういう時代も忘れたらいかんなと思います。
宇谷さんを見るなり駆け寄る動物たち
ー 除草目的からREIWAをスタートされた経緯を教えてください。
自分がのめり込む性格やから、どんどん山羊たちが可愛くなって、そのうち出産する子も出てきたりとかして、もっと広い場所に移してやりたいなと思ったんです。
取材当日になんと10頭目を出産!小さいママ山羊さん、頑張りました。
あとはイベントなどで山羊を出張させた時に、興味を持ってくれた人も多かったので、それならいつでも見にきてもらえるような場所を作ろうかなと。
それで20年以上前から放置されていた梨畑の跡地に柵を立てて、REIWAをスタートさせました。広さは600平米くらい。もともと祖父が梨畑として利用していた土地を使わせてもらっています。
近くの子ども達に見にきてもらったりとか、色々活用の道を考えとるけど、まだまだこれからです。今はスタートラインに立つか立たんかってところやわ。
ー 山羊を飼って大変なことや、困ることはどんなことですか?
一番はエサ!
冬場の餌はもちろんやけど、6月のこの時期でもすでにエサが足りなくなってきてるんです。
本当はうちの庭の草を食べてもらうのが目的で飼い始めたのに、いまでは朝5時半に起きて自分で草を刈って、仕事の前にREIWAに届けてる…(笑)
町の人も協力してくれて、野菜くずや余りをくれるけど、まだまだ足りんくて…。
牧草を売ってくれる方や良いアイデアある方はぜひ教えて欲しいです。
ー 自分のまちで人口減少を感じることはありますか?
すごく感じます。
子どもも居らんし、若い人が来たという話もあまり聞かんし。
自分が住んでいる小塩辻町というところは、梨畑が飛び地になっていて、住宅と梨畑がうまく共存しているのが魅力でもあるけど、その分後継者は見つかりにくくて深刻な課題も抱えとるように思います。
自分が小学校の頃は、学校が終わった後に梨畑で集合して遊んだりもしてたけど、今はそういう機会もないと思うし、自分の活動を通じて子どもたちが少しでも地元に触れてくれたら嬉しいですね。
青いネットで仕切られているのが梨畑。その横に広がるREIWA。
ー 今後チャレンジしたいことを教えてください。
スケールが大きいことじゃなくて、出来うることや想像しうる事からやっていきたいです。
例えば、農業やっとるところで山羊を飼育して除草に使っている事例もよく見るし、農家さんとのコラボとかも出来たら面白いなと思っとるんです。あとは、子どもがいらっしゃるご家庭に山羊を貸し出して、山羊と暮らす生活を体験してもらうとか。
REIWA自体ももっと整備を進めていって、地元の若夫婦や子どもたちが楽しめるようにBBQエリアを設けても良いですし、この場所を好きになる人を増やしたいですね。
何か面白いことが一緒に出来そうな方や、餌について良い案がある方はぜひ連絡いただきたいです!
ふるさと再生 やぎプロジェクト REIWA
オーナー:宇谷 一成さん
住所:石川県加賀市小塩辻町
メールアドレス:kazunari07@cocoa.plala.or.jp